経営戦略

当社グループでは、世の中が日々変化していく中でその時々に求められるサービスを生み出し世界中に届けていくことが、お客様がより自由に自分らしく生きられる社会を実現する上で大切なことであると考えています。ビジ ョンとして「世の中を、一歩先へ。」を掲げ、お客様にとって日々の生活を共に歩むパートナーの存在であり続け、生活をより便利に、より豊かにするサービスの提供を通じて、よりよい未来社会の実現に取り組んでいきます。

当社グループでは、「売上高の成長率」と「営業利益率の改善度」を重要な経営指標としています。これらの経営指標を持続的に向上させることにより、企業価値の継続的向上を実現していきます。また、「総還元性向」については、中期的に35％を目安に株主還元を行う方針です。

当社グループでは、コンテンツ事業から生み出す安定的な収益の一部を、市場規模が大きく、中長期的に成長性ポテンシャルが高いと見込まれるヘルスケア事業および学校DX事業へ投資しています。学校DX事業が最も早く事業成長が見込め、その後にヘルスケア事業が持続的に成長していくと考えています。中長期的には、ヘルスケア事業が利益成長の牽引役となると考えており、順調に拡大しているクラウド薬歴と子育てDXに注力しつつ、各サービスのストック収益の拡大を通じて、中期的な利益成長の実現を目指していきます。

① コンテンツ事業における収益低減の抑制

コンテンツ事業では有料会員数の低減傾向が続いていますが、安定的な収益の一部を今後の成長性ポテンシャルが高いと見込まれるヘルスケア事業に積極投資しているため、有料会員数の減少を抑制することとともに、成長が見込める事業の育成に取り組んでいきます。
セキュリティ系の有料会員数の拡大については今後の拡大余地があるため、引き続き有料会員数の拡大に注力していきます。また、コミック配信事業者向けにオリジナルコミック作品を提供する事業についても、オリジナルコミックの作品数を拡大することを通じて、その事業拡大に繋げていきます。

② ヘルスケア事業における売上成長

ヘルスケア事業では、将来の成長ポテンシャルが大きく、医療機関（病院・調剤薬局・健診機関）や健保組合、自治体等のお客様を長期間にわたりサポートするサービスを構築することにより、コンテンツ事業に比べて安定的なストック型ビジネスになり得ることが見込まれるため、中期的に取り組んでいく方針です。
医療・ヘルスケア領域に関わるさまざまな事業を展開していますが、それぞれの事業の収益化の早期実現に取り組むとともに、医療機関や健保組合、自治体等向けのサービスを浸透させるとともに、それらの複数の団体がそれぞれに連携できるサービスの統合を通じてエンドユーザーの利便性の高いサービスとして確立することも推進していきます。

当社を取り巻く環境は変化を続けており、ＩｏＴやＡＩ（人工知能）、５Ｇ（第５世代移動通信システム）、ｅＫＹＣ（オンライン本人確認）等の高度な技術の社会への浸透は進み、またデジタル庁設立に見られるように行政も巻き込むデジタルトランスフォーメーション（ＤＸ）の需要が高まっています。
当社グループは、今後も変化し続ける環境にいち早く適応しながら、付加価値の高いサービスを継続的にお客様へ提供できるよう取り組んでまいります。

① 開発体制の整備と情報セキュリティの強化

DXを実現するテクノロジーとしてのクラウド、ＡＩなどを活用した高度なデジタルサービスの普及や、システム間連携技術などの発展により、あらゆる産業そして社会全体を支えるシステム基盤の在り方が大きく変化し続けています。また、同時に、システムに求められるより高度な品質とセキュリティに対するニーズも高まっています。
このような中、当社グループでは、最新技術の導入、サービス品質向上、およびセキュリティのさらなる高度化を実現するため、組織の強化、高度な専門スキルを持った人材の育成と採用に力を入れております。また、テレワークスタンダード制を活用し、優秀な人材であれば国内に限らず世界各国から確保することも行っています。これらの取り組みを通じて、高度化するテクノロジーを利活用しより付加価値の高いサービスの提供に努めていきます。

② マーケティング力の強化

新型コロナウイルス感染症に対するさまざまな拡大防止策の普及とともに、高度なデジタルサービスはより速い速度で普及しています。ＤＸも急速に浸透し、今後もこうした動きは続くものと考えています。
こうした大きな環境の変化やニーズの多様化をいち早く捉え、お客さまにご満足いただけるサービスを提供するため、当社グループでは、これまで以上に環境および市場を適切に理解する姿勢が重要であると認識しています。そのため、お客様ニーズの適切な把握と積極的なデータの利活用により戦略立案・実行できる体制を構築することで、当社の強みであるマーケティング力のさらなる強化を図っていきます。

③ デザイン力の強化

高度で先進的なデジタル技術を、多種多様な人々が使いこなせるサービスへと変換させるためには、IA（インフォメーションアーキテクチャ）をベースとした、誰にとっても見やすくわかりやすい直感的なＵＩ（ユーザーイ ンターフェース）を備える必要があります。当社グループにおいても、優れたUX（ユーザーエクスペリエンス）実現には高度なＵＩ/ＶＤ（ヴィジュアルデザイン）が必須と考えており、それらを設計段階から十分に考慮したデザインは、お客さまが多くのサービスの中から当社サービスをお選びいただくための重要なファクターであると認識しています。
そのため当社グループでは、専門部署による継続した優れたデザインの研究とともに、ＵＩ/ＵＸデザイナーおよびIA（インフォメーションアーキテクト）の育成にも力を入れ、お客様に選ばれ続けるデザインを追求していきます。

④ 人材に対する投資と働き方改革の推進

当社ビジョン「世の中を、一歩先へ。」の実現に向け、社員一人ひとりが個性と能力を最大限に発揮し成果創出や価値創造の最大化を実現してまいります。そのために、推進力となる次世代リーダー層の育成を重点課題として取り組んでいます。経営者に必要な資質を養成する機会として、当社経営層との1on1の対話を通じた経営マインドの醸成や、各ポジションと能力・スキルに合わせた社外研修・交流の場を通じて、経営者の資質を引き上げる取り組みを行っています。
また、管理職としての自己理解や、他者理解を深めるメンタリングを実施することで個性や能力を最大限に発揮できるよう、社員一人ひとりに合ったマネジメントの実践を推進しています。
環境づくりにおいては、2020年9月期から導入したテレワークスタンダード制やスーパーフレックス制度では、時間や場所にとらわれない働き方を実現していますが、今後も継続的に多様な働き方を拡充するとともに、社員一人ひとりが働きがいを得られるようなさまざまな職場環境の整備に取り組むことを通じて、社員の生産性向上と満足度向上を推進していきます。
さらに、すべての社員が性別や年齢、個々人の事情に関わらず個性と能力を十分に発揮できる雇用環境の整備と、安心して働き続けられるためのさまざまな取り組みも推進しています。具体的には、「妊娠・出産・育児・介護」など社員のライフステージの変化に合わせ制度の見直しを随時行い、社員が長期的に活躍できるよう後押ししていきます。